279号:節句と磯の口開け

小さい頃は、旧暦の3月3日(4月3日)は節句と言い、3日前後に一家中そろって御馳走を重箱に詰めて海が見えるところに行き、一日中飲んで食べて楽しく過ごす「野遊び」の行事があった。その頃は「節句磯」と言ってウニやアワビが解禁になり重箱は磯の味がいっぱい詰まっていた。いつ頃から無くなったか分からないが、野遊びや凧揚げの思い出は確かに残っている。いま野遊びはないが、磯は資源を護るために口開けの期間と時間が決められている。今年は13日からと案内があったが、風雨が強く遅れて始まった。馬場崎公園に集まる高齢メンバーも磯かと思ったが、変わらず同じ顔が集った。その中、相方が朝市広場に出かけ買ってきたのがトコボシ(写真)。早速茹でて磯の香を楽しんだ。今私達が集っている公園は埋立地で、昔は格好の磯場として賑わった海だが、今は磯をする人を見ることがない。漁業発展に伴い海岸は波浪除けの突堤や船繋ぎ場となったが、磯焼けが大問題となっている。不思議な循環です。

2022年04月20日